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vol.3

『ご迷惑おかけしますカード』試作

2017.1.05

2日間にわたって行われたワークショップでは、数々の面白いアイデアが生まれました。ワークショップ終了後、運営チームで実現化に向けて話し合った結果、まずは「ご迷惑おかけしますカード」を実際のマンションでトライアルすることになりました。

トライアルに向けて、元のアイデアをベースに3種類のカードに発展させ、デザインしました。一つ目は元のアイデアと同じ用途、ご近所付き合いのトラブルを事前に回避するための「ご迷惑おかけしますカード」、二つ目は入居時の挨拶用「初めましてカード」三つ目は自由に記入できる「フリーカード」です。

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トライアルは入居者数が50人未満の小規模マンション2件で行われました。実施後のアンケートによると、「フリーフォーム」は何人かの方に使っていただけたようでしたが、その他2種類のカードはあまり使ってもらえなかったようです。プライバシーの問題や、ドアノブの形の違いなど、実現化に際してはより念密なリサーチによるデザインが必要であるということがわかりました。


vol.2

アイデア創造ワークショップ

2014.8.13

image5夏仕様の会場clip日本橋朝9:20。夏らしい高い空の広がる日本橋に、学生から社会人まで、28名の参加者が集まりました。こんな素敵なお天気の日に、たくさんの人が集まって、せっせとマンションコミュニティについて考える…なんてストイックなんでしょう。

本日のテーマは「都市のマンションコミュニティの課題を解決し、住民同士の豊かなコミュニティをつくるために、デザインには何が可能か?」。大きく3つの発想手法を使いながら、マンションコミュニティの課題を解決するためのアイデアを生み出します。


アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせである

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『アイデアを発想する』と聞くと「難しそう…」「そう簡単には思いつかないよー」と身構えてしまいますが、実は、発想にも型があるのです!と、ファシリテーターの白木より講義が始まりました。

たとえば、カッター。昔、ガラスでモノを切っている様子を見たある人が「板チョコのようにポキポキ折れる刃があれば、いつでも切れ味が良いまま使えるのでは?」と、カッターを発明しました。ガラスで何かを切る文化も、板チョコも、既にあったものだけれど、それを組み合わせることで新しい文化を生み出す事ができました。

では、何を組み合わせれば良いのか?

これを考える際、大きく3つの発想法があると言われています。それら3つの発想法を順番に体験しながら、アイデアを発想するワークに取り組んでいきます。


FormA 現場から発想する

まず1つ目の手法は、生活者の声や生活スタイルから発想する方法です。

だれが、何に困っているのか?現場の声を聞いて、アイデアを発想します。今回は参加者が実際に聞きにいくのではなく、事務局が事前に行った5つの家族のヒアリングレポートを聞いて、疑似ヒアリングを行いました。

「入居時に挨拶に行ったけど不在だったので、それからまったく接点はないですね」
「上の人が飼ってる犬の声がうるさいときもあるけど、あそこは中年女性が一人で住んでるから、仕方ないと思っちゃう」
「エレベーターが一緒になるのは気まずいから、用もないのにポストの方へ行って逃げてしまうことがあるなあ」

など、マンション住民とのお付き合いについて、課題解決のヒントになりそうな現場の声がたくさん溢れていました。それらの声や気づきを元にアイデアを出し、チーム内で発表します。

image8壁に貼られた人間関係ステップアップシートは、あっという間にアイデアの書かれたたくさんの付せんで埋まった
ちょっと一休み。お楽しみ日本橋ランチ

5家族分ものレポートを聞いて少し疲れが出たところで、お待ちかねのランチタイム!

今回のプロジェクトの発起人である川路さん(サステナブルコミュニティ研究会 本プロジェクト発起人)が「日本橋の美味しいものを食べて、日本橋をもっと好きになってほしい」と、なんと、手づくりランチマップを作ってくれました!

image9日本橋には美味しいランチがたくさんマップの前には、すぐに人だかりが。

「どれくらいのお付き合いが丁度いいのかなあ?」「あのアイデアは面白かったね!」と、チームごとに好きなお店でわいわいランチを楽しみました。


FormB 事例から発想する

image10事例カードを囲んで話し合いは白熱
2つ目の手法は、他の似ている取り組みから発想する方法です。

実は、前回のワークショップの最後に『コミュニケーションを促すイベント・アプリ・ツールをひとつずつ調べてくる』という宿題が出されていたのですが、ストイックな皆さんはきちんと3つ調べて、尚かつ、みんなが知らないような面白い事例を探してきてくれました。

それらの事例に加え、30の課題解決事例が入った『事例カード集』から、今回のテーマだったらこの事例のどこを応用できそうか?とアイデアを発想して、またチーム内で発表しました。


FormC 接点から発想する

そして3つ目の手法は、モノ・サービス・場所・人などの接点から発想する方法です。

80枚ある『接点カード』から、発想します。『接点カード』には、学校・手紙・タクシーなど、日常生活に登場するモノやコトが書かれたカードです。

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たとえば、
「ラジオ」→「マンションオリジナルのラジオ体操をつくろう!」
「手紙」→「新規入居者に、ようこそ!と手紙が届くと良いのでは?」
「ドア」→「イベントの時はドアを半開きにしておくと入りやすいかも」
といったアイデアが出ました。


一日おつかれさまでした!最終発表と表彰

この時点で、時刻はもう19時。朝から約9時間、ほとんど休まずマンションコミュニティについて考え尽くした一日でした。

最後は、ひとりひとつずつ考えた珠玉のアイデアを発表し、issue+design賞とサステナブルコミュニティ賞の表彰です。

image12みんなで出したアイデアを、最後は一人ひとりシートに落とし込みながらブラッシュアップしていく
まず、issue+design代表 筧より。

「 今日は本当に、すごくいいワークショップでした。その原因は2つあると思います。1つは、テーマがすごくよかったこと。みんなが議論しやすくて、自分ごととして考える事ができる、素晴らしいテーマだったと思います。そういった意味で、機会をいただいたサステナブルコミュニティ研究会の川路さんに、皆さん拍手をお願いします。(一同拍手)そしてもうひとつは、みなさんが積極的に参加してくれた事。お盆のこんな天気のいい日に、部屋にこもってがんばってくださった忍耐力。そこが、上手く行った原因じゃないかなと思います。 」

issue+design賞は…Aチーム!

image13筧「 『ご迷惑おかけしますカード』や『SEKISHO Bar』、『開閉センサー付きドア』など、バラエティに富んでいました。また、だれの抱えるどんな課題に対するアイデアなのかがはっきりしていて、かつ、その人の背中をポンと押してあげられるようなアイデアでした。 」

次に、サステナブルコミュニティ研究会 川路さんより。

「 私がマンションコミュニティの企画をするようになってから9年くらいで、小さいものから大きいものまで企画をしてきて、正直、(まあほとんど僕の考えている範囲だろうな、アイデアよりプロセスを知れたらいいなあ)と思っていたんですけど。すぐにやりたいくらい素晴らしいアイデアがたくさん出て、素人でも一日やったら出来るんだ!と思って(笑)、非常に悔しかったですね。それぞれのチームに素晴らしいアイデアがあったので、1チームに決めるのは難しかったです。 」

そんなサステナブルコミュニティ賞は…Cチーム!

image14川路さん「“同じ建物に住んでいるという愛着をどう生むか”に絞られていた点が、良かったなあと思います。『マンションバースデー』のアイデアは、愛着を生むために、マンションができた日を誕生日としてみんなで祝うというのが、とてもシンプルで良かったです。」
“いいデザイン”ってなんだろう?

筧の講評の中で、“いいデザイン”ってなんだろう?という話がありました。
1.「何に困っているのか」「どんな思いを持っているのか」具体的にだれのためのデザインなのかがはっきりしている
2.その人が困っていることを解決している
3.その人の気持ちが動かせる、共感を呼べる、直感的に「いいな」「たのしそう」と思える

今回のワークを通して、この3つのポイントを自分に問いかけながら、課題を解決できるデザインアイデアを生み出すのが大切なんだと、たっぷり体感出来た一日でした。

image15参加者の皆さま、お疲れさまでしたー!
(i+d 岡本)
vol.1

マンション+DESIGNスタート!

2014.8.06

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現在、東京23区においては46%もの人々がマンションなどの集合住宅に住んでいると言われています。マンションという住まい方が多くの人に身近になった一方で、生活音などのマナートラブルや独居老人など、マンションコミュニティは沢山の課題を抱えています。

今回のサステイナブルコミュニティ研究会との共同プロジェクト「マンションコミュティ+DESIGN」では、全2日間のワークショップを行い、マンション内で豊かなコミュニティをつくり、マンションコミュティの課題を解決するツールアイデアの発想に挑戦します。

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7月25日金曜の夜、多数の応募の中から選抜された40人の参加者が日本橋のコワーキングスペースClipニホンバシ(とってもおしゃれ!)に集まり、第一回ワークショップが行われました。

マンションの現状まず始めに、サステイナブルコミュニティ研究会の川路さんより、マンションコミュニティの現状報告をして頂きました。

以前は賃貸で一時的な住まいであったマンションですが、現在では永住の住まいとして選ぶ人が圧倒的に増え、今後もマンション人口は増加していくそうです。年々増え続けるマンションに関して近年顕著化している問題は、高齢化、スラム化、そして住民感トラブルの3つ。同世代の同時入居の結果引き起こるマンション住人の高齢化は、独居老人や買い物難民、夜の徘徊などの問題を抱えています。空き家や賃貸率の高まりは管理の不在を引き起こし、マンションのスラム化に繋がります。また、ルールやマナーの整備が不十分であることで、違法駐車場や騒音などの住民間トラブルが多発。驚いたのは、ペットの数。ペットの数は、今や16歳未満の子供の人口より多いそうです!それに伴ったペットに関するトラブルも多いそうです。

写真(1)そもそも、コミュニティって必要?コンビニやアマゾンなどのインターネットサービスによって、私たちは物やサービスをすぐに手に入れる事ができるようになりました。「古き良き」ご近所付き合いの定番・お醤油の貸し借りも必要ない、現代の「満たされた」都市空間では、コミュニティはいらないような気さえします。実際、参加者からも「向こうが一歩踏み出したいかわからない」「近所付き合いって助け合いと面倒の天秤」といった意見がありました。

ですが、マンション内における日常の住民間トラブルの回避策としてコミュニティは上手く機能するのではないかと川路さんは考えているそうです。なぜなら、そもそも普段から付き合いがあり、互いの置かれた状況を知っていたら、クレームやトラブルにはならないはずだからです。例えば、隣のAさんのペットが夜うるさかったとしても、「Aさんは一人暮らしで、ペットは家族同様大切な存在なのだ」と知っていたら、単にクレームになるのでなく、解決策を話し合えるはずです。2011年の東日本大震災発生時には、マンション内で互いに安否を確認し、声をかけ合ったケースが沢山あり、非常時に助け合える関係性の重要さも明らかになりました。日常と非常時とでコミュニティが様々な問題を解決できるはずだと川路さんは考えています。

写真(3)さらさら?さらベタ?べたべた?ALWAYS3丁目?現代の私たちが求める豊かなマンションコミュニティを考えるにあたり、ワークショップの後半では、4、5人のチームでマンションのご近所付き合いに関する経験談や意見を出し合いました。

私が参加したチームでは「実際、どの程度の付き合いを求めてる?」という疑問が浮かび上がりました。お裾分けはする?旅行でペットを預かる?洗濯物を取り込んであげる?立ち話になった時、家に入れる?玄関までにする?などなど、具体的に想像してみると、求めるご近所付き合いにはかなり個人差があるようです。だとしたら、自分の求める付き合いのレベルを具体化するものがあれば良いのではないか、という意見も出てきました。他にも沢山の経験談とそこから派生した疑問点が出たので、ここでその一部をご紹介します。

「共有空間がない」
「情報共有する場が掲示板だけ」
「新聞取らないから、ポストを見ない」
→自然に人が出会う仕組みって何だろう?
(Appleでは社員同士の交流の機会を増やすために、トイレを一カ所に集中させたそうです!このように、会社などの大きな組織から学ぶこともできそうです。)

「花火や日食、流星群などのイベント時に外で挨拶をした」
「日食用のサングラスを貸し借りした。」
→自然に同じ空間にいるイベントって他に何があるだろう?
→ワールドカップ一緒に観たかった?

「子供がいる世帯は仲が良い」
「病気のネタで盛り上がる」
→共通点や趣味、話題っていつ、どうやって知ることができる?

「表札が出ていない」
「賃貸の人はいつ出て行くかわからなから、声をかけてもしょうがない気がする」
→毎月、マンション内で歓迎会と送別会を同時にしたらどう?

「下の階からタバコの煙が流れてくる」
→お互いの生活スタイルや状況を伝えるチャンスは入居時の挨拶だけ?

、、、などなど!多様な職業や年代の方々と話し合い、普段気づかなかったマンションコミュニティの様々な面を発見することができました。

次回は、いよいよアイデア出しに挑戦します!

(i+d 川合)